ニュージーランドの鳥事情
最も近いオーストラリアからも4000km以上離れているニュージーランドはおよそ8000万年以上も前から独自の動植物の進化が進んだと考えられています。
また、哺乳類の進化がほぼなかったため、キーウィ等の飛べないユニークな鳥が多数生息しています。
しかしながら、今では人間の植民地化により絶滅、または絶滅に瀕している種も少なくありません。
今日は、そんなニュージーランド固有の鳥10種類と、バードウォッチングのおすすめスポットを5カ所紹介します!
1.キーウィ(Kiwi)
ニュージーランドの鳥といえば、国鳥である飛べない鳥のキーウィ。国の象徴として様々な企業のロゴや、$2硬貨にも描かれたりしています。
その名前は 「キーィ」という鳴き声から先住民族のマオリ族がつけたといわれています。
マオリ族の伝説では、神様に、飛ぶ能力と引き換えに地上にて木を食い荒らす虫たちを倒すという使命を与えられたとされるキーウィ。
3種類のキーウィ!?
ちなみにみ、ニュージーランドには3種類のキーウィがあるといわれています。鳥のキーウィはもちろん、フルーツのキーウィ、さらにニュージーランド出身者のことも「キーウィ」と言うのです。
そのため、ニュージーランド人のアクセント(訛り)はキーウィアクセント、家事などを積極的にする旦那の事は、世話好きのオスキーウィにちなみキーウィハズバンドと言います。
特徴
見た目は、大きさ、重さ共にニワトリくらいで、コロッと丸い体つきと長いくちばしの愛らしい姿が特徴です。
生態は未だに謎が多いのですが、とてもユニークで、キーウィの卵は体重の4分の1にもなるほど巨大であることや、オスが2か月半も卵を孵化させるため温めることなども知られています。
一口にキーウィと言っても、ニュージーランド全体では5種類のキーウィが生息しています。簡単に、その5種類の説明をします!
ノーザン・ブラウン・キーウィ
ニュージーランドで最も数が多いノーザン・ブラウン・キーウィ。北島に約25,000羽生息しています。名前の通り、茶色い体をしています。お土産屋のぬいぐるみ等はこのブラウンキーウィがほとんどです。
グレート・スポテッド・キーウィ
最も体が大きいのがNZ南島に生息するグレート・スポテッド・キーウィ。体重は3キロを超えるとされ、キーウィの中でも最大級です。生息数は15,000羽ほどと言われています。
リトル・スポテッド・キーウィ
最も小さいキーウィは、リトル・スポテッド・キーウィ。体重は1~2キロ程度しかなく、名前の通り、体にマダラ模様が入っています。
サザン・ブラウン・キーウィ
ニュージーランド南端に位置するスチュアート島には、サザン・ブラウン・キーウィが生息しています。ノーザン・ブラウン・キーウィに非常に似ているため2000年までは同種とされていました。赤っぽい羽毛とクチバシが少し下に曲がっているのが特徴です。
オカリト・キーウィ
一番最近発見されたのは2003年に認定されたオカリト・キーウィという、南島の南西部の森にのみ生息する最もレアなキーウィです。全部で500羽ほどしか数が確認されておらず、実際に見るのは一般的には難しいです。
今でこそ生息数は増えてきましたが、人間の植民地化により絶滅危惧種となってしまっているキーウィ。ニュージーランドに来た際には是非会いに行ってください!
2.タカへ(Takahe)
クイナ科の飛べない鳥で羽根が美しいタカへは、第二次世界大戦後まで絶滅したと考えられていました。
保護活動が始まった現在は、ようやく300羽程に増えました。山地や森林の草地に単独か小さな家族群で生息しています。
最近では見ることができる場所も増えています。主な所ではオークランドのティリティリ・マタンギ島や、ウェリントンのジーランディア等があげられます。
3.プケコ(Pukeko)
そのタカへと見た目が瓜二つのプケコ。こちらは足が長く、スラッとしています。ニュージーランド全国に生息し、特に湖や湿地帯でよく見られます。
ちなみにマオリ族の伝説によると、先ほど述べたキーウィに使命を与えた神様の命令に背いたため、永遠に沼などの湿地帯で暮らすようになってしまったそう。
研究で、タカへとの違いはニュージーランドに飛来したのが遅いか早いかの違いだけだと分かっています(プケコがやってきたのはたかだか千年前。タカへは1千万年前)。
まだ飛行能力のあるプケコですが、タイムマシンがあれば、是非未来のプケコがタカへになっているのか確認して見たいものですね!
全国の公園や森林で見ることができます。
4.ウェカ(Weka)
日本名はニュージーランドクイナ。飛ぶことは無いながら、とても丈夫な脚をしており、走る事が得意です。
人間が介入するまでは、キウイやプケコとともに飛べない鳥として森をシェアするように生息していたと考えられています。
好奇心の強い鳥で登山客やキャンプ場、小屋などに現れ、食べ物や所持品をとっていってしまうこともしばしばです。雑食でフルーツ、ネズミ、虫、トカゲなど食します。
帰巣本能が発達しており、巣から数100㎞も離れたところまで歩く事もあるそうです。人間が介入したことにより今は保護の対象となっています。
主に南島に生息していますが、オークランドのワイヘケ島の隣にある小さな島「ロトロア島」でも見ることができます。
5.カカポ(Kakapo)
世界最大の重さを誇るオウムで、世界で唯一の飛べないオウム、さらに世界で唯一の夜行性のオウムと、ニュージーランドに生息するユニークな鳥たちの中でも特に不思議な存在です。
カカポは現在213羽しかおらず(2019年11月現在)、そのすべてにジェーン、ヒラリー等名前がついています(リストはWikipediaを参照して下さいhttps://en.wikipedia.org/wiki/List_of_kakapo)
そんなカカポは厳重に管理された離島で保護、繁殖されているので一般人はめったに見ることが出来ないです。
そんな中一羽だけ「親善大使」に任命されて、カカポの広報活動をするために人々の前に公開されているカカポがいます。シロッコ(sirocco)と名付けられたそのカカポは、Facebookのアカウントをもっていることでも有名です!https://www.facebook.com/siroccokakapo/
会いたいという方は是非Facebookで動向、じゃなかった、広報活動予定をチェックしてみてください!
6.ツイ(Tui)
ツイは美しい鳴き声、うなり声、咳こみ、ごろごろした声等々さまざまな音色で鳴き、人間の言葉を少しながらも真似することのできる知能の高い鳥です。
その多様な鳴き声からマオリ族は神様の伝令者としてツイをあがめているそうです。
花の蜜を主食とし、果物や昆虫も食します。
外見は、首元に蝶ネクタイのような白いポンポンがあるのが特徴。
森や花が咲いている樹木がある庭や森林、公園などで頻繁に見ることができます。
北島で多く見られますが、全国に生息ています。
ニュージーランド産のビールの名前(Tui Beer)にもなってるので、ニュージーランドに来る際には是非ツイビールのボトルキャップもお土産の一つにしてください!
7.ファンテイル(Fantail)
日本名をハイイロオウギビタキというファンテイルは、ニュージーランドで最も見かける、そして知られているネイティブの鳥と言っても過言ではありません。
鳥の尾(Tail)がうちわ(Fan)みたいな形状であることからFantailと呼ばれています。マオリ属によるとファンテイルは、死を呼び込む、もしくは、神からの死の知らせを人間に伝えるメッセンジャーなんだとか。
そんな不気味な言い伝えのあるファンテイルですが、ひろひらとまるで蝶のように舞い、見ていると心が癒されていきます。
登山をしていると人の後を追いかけてくる事でも知られています。なんでも、人間が歩いた後の足跡にいる虫を食べるためだとか。
住宅街にも多数いるのでぜひ探してみてください。
8.ケレル(Kereru)
大型の山鳩のケレルは、光沢のあるエメラルドグリーンの羽と真っ白な胸元の羽のを持ち、全国の森林で見られます。
ニュージーランド全土の町にいる土鳩の約2倍の大きさを誇り、飛べるニュージーランド固有の鳥の中では最も大きい鳥の一種です。
大型の鳥たちが絶滅した今では、種子を運べる鳥といえば、ケレルくらいになってしまい、今では、森の種子の広範囲の拡散を手助けできるとても貴重な役割を果たしています。
9.ケア(Kea)
ニュージーランド南島にのみ生息する珍しいオウム、ケア、またはキア。
ニュージーランド国内ではいたずら好き(というかもはや森のギャング)
何も知らずに登山した人達は、必ずケアの標的にされます。
というのも、世界で最も頭のいい鳥の一つとされるケアは、食べ物を盗み、勝手に飲み物を飲み、車はつついてへこませてしまい、車や山小屋に侵入し小物を盗み、登山家の衣服、靴を持ち去り・・・とやりたい放題のケア。
南島で山登りをするときは、十分に注意しながら、絶滅にひんしている彼らを暖かく見守ってやって下さい。
10.ペンギン(Penguin)
ペンギンとざっくり言っても、ニュージーランドには7種類ものペンギンが生息していて、そのうち4種類は一般人でも見ることができます。
ブルーペンギン
ニュージーランドで最も有名なペンギンスポットは南島のオアマルと言う町でみられる「Blue Penguin Colony」です。
Blue Penguin Colonyは有料ですがほぼ確実に世界最小のブルーペンギンが見られます。
しかし、地元住人しか知らない無料スポットなどもあるので、オアマル宿泊の際にはぜひ聞いてみてください。
同じ南島のアカロアではホワイトフリッパード・ペンギンがみられ、南下してダニーデン周辺ではイエローアイドペンギンが比較的見やすい場所として知られています。
同南島のフィヨルドランド国立公園ではフィヨルドランド・クレステッド・ペンギンが見られます。
ホワイトフリッパード・ペンギン
イエローアイドペンギン
クレステッド・ペンギン
南極に近いニュージーランドで野生のペンギンとの出会いを是非楽しんでください!
ニュージーランドの野鳥をもっと知りたい方は必見!
野鳥の多いニュージーランドでは、New Zealand Birds Onlineというサイトがあり、鳥の外見、特徴、生息地、鳴き声、学名等を調べることができます。英語になりますがぜひ使ってみてください!http://nzbirdsonline.org.nz/
バードウォッチングおすすめスポット5選!
ここからは上記の鳥たちを含めたニュージーランド固有の鳥と出会えるとっておきのスポット5つを紹介します!毎年2万人以上の訪問者が訪れるといわれています。
1.オークランド、ティリティリ・マタンギ島
オークランドの4km沖にあり、フェリーで片道75分のティリティリ・マタンギ島は、世界で最も成功した野鳥の自然保護区のひとつです。
数多くの絶滅危惧種の鳥たちが生息している事でとても有名な場所です。見ることが出来る鳥は、上記のタカへ、ブルーペンギン(シーズンによる)に加え、コカコ、サドルバック、カカリキ、ノースアイランド・ロビンなどです。
大人はフェリー往復で82ドル、子どもは50ドルです。ガイド付きツアーは10ドル。やや高めですが、ツアー自体だけでも1時間半から二時間という事を考えればお得ですね!
下記の島のサイトから頼めば、日本人ガイドが利用できる場合もあるそうです。
フェリー会社:Fullers
乗船場:Pier 4, 139 Quay St., Auckland
運航スケジュール:https://www.fullers.co.nz/destinations/tiritiri-matangi-island/
料金:往復で82ドル、子供50ドル。ガイド付きツアー10ドル
ティリティリ・マタンギ島のサイトはこちらhttp://www.tiritirimatangi.org.nz/contact
Youtubeで紹介されている島の動画はこちらhttps://www.youtube.com/watch?v=fyOwvvfgmwo
2.ロトルア、レインボー・スプリングス・キーウィ・ワイルドパーク
ニュージーランド観光の定番ですあるレインボー・スプリングス・キーウィ・ワイルドパークはニュー時ランド一の温泉街ロトルアにあります。
名前の通り、敷地は天然水が湧き出る泉に覆われ、キーウィやトゥアタラ(ニュージーランド原産のトカゲ)などの絶滅危惧種を保護して生育しています。
キアやカカ等の国固有の鳥が住む森の中を散歩することができる他に、ニジマスが泳ぐ透明度の高い泉や、夜間にライトアップされた幻想的な森の中を歩くこともできます。
特に注目すべきは、ニュージーランド最大のキーウィ繁殖地で、キーウィを孵化・生育、野生へ戻すまでの保護活動を見学することができるキーウィの保護施設、キーウィ・エンカウンターです。
是非間近でキーウィの姿を見てみてください!
営業時間は8:30~22:30、冬期/8:30~21:00
料金は大人$40、子供$20
住所192 Fairy Springs Road, Rotorua
ウェブサイトhttps://www.rainbowsprings.co.nz/
3.ウエリントン、カピティ島自然保護区
カピティ島自然保護区は、北島の最南端から5km沖合にあり、固有の鳥類の個体数が多いので、ニュージーランドの野鳥にとって最も重要な場所のひとつです。
一番の見どころは、2006年にオープンしたノース・エンド・トラックです。海岸沿、森の中、湿地帯など多様な地形の中を歩く全長4kmのコースとなっています。
島にはタカヘ、ウェカ、、ケレル、ツイ、カカリキ(キガシラアオハシインコ)、ノース・アイランド・ロビン(ノースアイランドコマヒタキ)、ブラウン・ティール(チャイロコガモ)等様々な鳥が生息しています。
そのままの自然を守るため、1日に最高18人までが上陸許可を受けることができます。
いくつかのツアー会社が日帰りツアー、キャンプ場での宿泊などを行っています。日帰りツアーが主流です。
ツアー会社
Kapiti Island Eco https://www.kapitiislandeco.co.nz/一日ツアー$80より
Kapiti Island Nature Tours https://www.kapitiislandeco.co.nz/ 一日ツアー$185より
4.ペンギンプレイス/Penguin Place(ダニーデン)
イエローアイドペンギンの保護のため、南島はオタゴ半島に作られた個人運営のペンギンプレイスでは敷地内に巡らされた溝のような通路を通り、塹壕状になった見学小屋からペンギンを観察する事が出来ます。
ペンギンを至近距離で見られることもよくあり、周辺にはオットセイ、アホウドリなど様々な野生生物が暮らしています。
行くには、$55のガイド付きツアー(90分)に参加する事が必要です。
ツアーでは、最初にガイドによりペンギンの生態についての説明を受けます。
その後、バスでペンギンの観測ポイントまで移動し、ガイドとともに見学コースを回ります。シーズン中には雛も見学出来ます。
住所:45 Pakihau Rd., Harington Point, Dunedin
電話:03-478-0286
入園料:大人NZ$55、子供NZ$16
ウェブサイトはこちらhttps://penguinplace.co.nz/
5.ダニーデン、オロコヌイ・エコ・サンクチュアリー
オロコヌイ・エコ・サンクチュアリーは、南島ダニーデンから車で30分、20km北にある307ヘクタールの森林・野生動物保護区です。
害獣から固有種を守るフェンスが9kmにわたり導入されていて、ニュージーランドで最も新しい野生動物保護プロジェクトのひとつとして知られています。
フェンスの中で保護されている野鳥には、キーウィ、タカへ、ケレル、サウスアイランド・カカ、サウスアイランド・サドルバック、サウスアイランド・ロビン、オタゴ・などが含まれます。
鳥以外でもニュージーランド固有種のトカゲ、トゥアタラ(ムカシトカゲ)などが生息しています。
施設内では、野鳥の保護活動への理解を深める教育プログラム、ガイド付きツアーが行われているほか、キウイの伝統的な料理とコーヒーを提供する手頃なカフェもあります。
住所:Top of Blueskin Road (Rapid No. 600) Waitati, Dunedin
電話:03-482-1755
入園料:大人NZ$20、子供NZ$10
ガイド付きツアー(入場料含む)は一時間で$35、子供$17.5
ウェブサイトはこちらhttps://orokonui.nz/
まとめ
ニュージーランドにはまだまだこの記事では紹介しきれないたくさんのユニークな鳥達がいます!
また、バードウォッチングを出来る場所も、もっともっとたくさんあり、上記の場所はほんの一握りです。
ニュージーランドにお越しの際にはいろいろな場所でユニークな鳥たちとの出会いを楽しんでください!